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Romance夢紀行

Romance夢紀行

Archangel's Heart/ナリーニ・シン あらすじ

※ ※ ※ ネタバレあります ※ ※ ※ 
辞書で確認せず、記憶に頼っててきとーに書きなぐっていますので、
内容が間違っていても笑って読み流せる方だけ読んでくださいね

教会のシスターがある日、教会の外で地面に寝かされたきちんとした身なりの5歳くらいの女の子をみつけます。目覚めてすぐ「ママ」と母親を探す様子や、身なりからして明らかに愛されている子供がどうしてと思いますが、子供の衣類から「どうしても行かなければならない場所があり、安全な場所にお預けします。数日後に戻りますが、戻れないときは私が死んだときです。マルグレーテに愛していると伝えてください。そしてもしも戻れないときはその理由を探ったりしないように」というメモが残されていました。

アレキサンダーが目覚めてから、リージャンが消息を絶ってから、イリウムが内なる力で破裂しそうになってから2年がたっていました。不思議とキャスケードは治まっていましたが、これは終わりではなく一時的なものだと誰もが感じているようでした。

ラファエルは10人衆が集まるから一緒に来てほしいとエレナに頼みます。誰が会議を招集したのかと聞くと、誰でもない。ルミナリス、光の者という求道者が、中立地帯である彼らの土地で会いたいと言っているそうです。この会合では、大天使が眠りについたり、消息不明になったときにその領土をどう分配するのかという決定を下す権利を持っていて欠席すると自分に不利益が生じるため、どのメンバーも欠席しないというものだそうです。光の者というのは、自分たちの存在や道というものを追及している人たちで、主を持たず、戦争には介入せず、入会するときには血縁を断ち切る一切しがらみのない存在だそうです。

リージャンは消息不明なものの、おそらく眠りについているのではないかというのがラファエルの意見です。ミカエラについては、目立つことが大好きな彼女にしては珍しくこの2年動向が伝えられてこず、ひょっとすると出産したのではないかとラファエルの陣営は疑っています。そうであれば子供の父親であろうダハリエルに伝わっていてもおかしくないのではとエレナは感じますが、だれも信用できないとミカエラは考えているのかもしれないとラファエルは言います。

エレナは地面から飛び立てるようになってきましたが、いまだに筋肉の発達が十分ではなく、身体に負担がかかるので、必要な時以外は高低差を利用して飛び立つようにしているようです。中立地帯の光の国へは、ラファエルだけなら飛んでいけたはずですが、エレナを帯同するということで、途中までは飛行機
で出かけることになりました。光の国はモロッコにあるそうで、エレナは自分のルーツでもある土地で、以前狩りで通り過ぎたときには好印象を持っている地のようです。空いた時間にルーツを探りたいと思っているようです。


エレナは、ジェフリーが子供もヴァンパイアに殺されて妻もまた自殺しただけでなく、ハンターだったジェフリーの母もヴァンパイアに殺されていた過去を知り、仲良くなることはなくても、以前よりも彼を理解できる気持ちになってきました。マルグレーテがまだ元気で、ベスが赤ちゃんだったことも思い出しました。学校に行きたくないエレナの気持ちをくんで、今日は二人きりで過ごしましょうねとやさしく笑って、娘へのプレゼントのお洋服を縫いながら、祖母とあなたは本当にそっくり。あなたをみるとお母さんを思い出す。ジェフリーのひたむきな性格があなたにも遺伝しているようでそれが少し心配とも。

光の国へはラファエルとエレナのほかにアオドハンを護衛として連れていくとラファエルは話します。エレナは私のガードは連れていってはいけないの?と話すと、それは私が君を守る能力がないとみなされると天使の礼儀規範を持ち出されます。エレナのガードは親友のアッシュとその夫ジャンビエール、エレナに熱烈に憧れていて大怪我をしてしまった天使イザクと、ギルドでコンピュータを支配して情報を集めていたヴィヴィクがいます。ヴィヴィクは生まれつきのハンターでしたが、事故で身体が不自由となっていました。アオドハンによってヴァンパイア化されていまは驚くほどのスピードで四肢の能力を回復しつつあるようです。彼は100年天使との契約に縛られることを気にしていたので、エレナが酷いことにはならないと請け合い、また回復してくれば彼は自分の能力をもっと活かせるラファエルの部下になりたがるのではないかと考えラファエルと相談し、立場上はエレナのガードにはいり、ジェイソンの指導をうけるという形に落ち着いたようです。

ラファエルとエレナがマンハッタン上空にいるとイリウムがやってきて、エレナに大邸宅まで競争しようと誘います。エレナは旅が迫っているから羽の筋肉をよい状態に保っていたいと遠慮して、イリウムとラファエルが競争を始めます。すると、2年間治まっていたキャスケードがまた始まりました。地面が大きく揺らぎ川が大きく波立っていきました。ラファエルとイリウムは本能的に飛び立ち、すぐには飛べないエレナの腕をかかえて上空に浮かびます。被害の確認をすべくイリウムはタワーに向かい、ラファエル達は上空から町の被害状況を確認していきます。ビルの倒壊などはないようでしたが、サラからジェフリーが交通事故で命の別状はないけれど病院に運ばれたと連絡が入ります。

本宅に戻った二人は、執事のモンゴメリに迎えられます。モンゴメリは1年ほどまえにコックのシブヤと静かな結婚式を挙げたそう。その晩食卓にはアオドハンとイリウムが同席していましたが、家庭の食卓にいるように寛いでいる二人をみて、モンゴメリとシブヤの二人の交わす気持ちにエレナが気が付いたことで彼らは幸せをつかみ、ラファエルはエレナの人間の心がこの屋敷を単なる入れ物ではなく家庭にしてくれたんだなと気づきます。

夕食をとっていると、ラファエルがエレナは大切な自分の宝物だから守らなくてはという気持ちでアオドハンに護衛させるということを言うと、エレナとラファエルの間で心話でバトルが勃発します。次に光の国とそこで400年リーダーでいる人物についてアオドハンが護衛のために調べたことを話すと、イリウムが彼のことを心配しますが、アオドハンは自分はもう壊れた人形ではない! 守られなくてもいいと怒ると、イリウムは怒って席を立って屋敷を出てしまいます。

エレナが追いかけるとイリウムは入口の外に立っていて、アオドハンはああいうけれど、壊れた人形のようだった彼とその間彼なしでやっていかなければなかった2年間を考えると心配するなというのは無理な話だと怒りとショックで涙しています。アオドハンがアイルランドで画業にかかわる仕事をしていて、何かが起こり、救い出された時には美しい羽根はムシられ、身体はボロボロの状態でした。口も利かず、誰とも目を合わせない状態でリフュージで静養していると、今度はケルのアシスタントだったロムスという人物がつきそうイリウムを巧妙に遠ざけてアオドハンの耳元にお前は壊れた人形だとささやきかけ、精神的に虐待し、彼を支配しようとしていました。イリウムは現場を発見するとすぐさまロムスを殴り飛ばし、殺す寸前まで行きますが、アオドハンが「イリウム」とかすかに声をあげたことで、ロムスを放り投げ、彼の枕元に駆けつけました。ラファエルも現場に駆けつけますが、イリウムから事情を聞き、ロムスは天使の社会から追放されたようです。

エレナは友達としてイリウムに寄り添い、静かに話を聞いていましたが、イリウムが飛び立ってしまうと、ラファエルの元に戻ります。アオドハンが辞去すると、エレナはラファエルに昔のアオドハンはどんな感じだったの? と尋ねます。いまはセブンのなかでもとりわけ安定した気質に思える彼の違う様子は想像がつかないでいます。ところがラファエルがいうなら彼はいわゆる芸術家肌で癇癪もちだったというので、エレナはひょっとしたら元の彼が戻ってきているのかもと気づきます。イリウムがいつそれに気づくかしら? 

飛行機でモロッコに向かった三人。マラケシュではなく、より小島に近い内地のプライベート飛行場に着陸し、そこから3人は光の国へ飛んでいきました。三方を塀で囲まれ、1方は天然の要害に守られ、簡単には侵入できない造りになっています。古天使アレクサンダーの気配やラファエル達を観察する気配を察し、エレナは彼らに見せつけるようにクロスボウをあちらこちらに放ってみせ、ラファエルはその矢を素早く捕まえてみせます。最後にはラファエル自身の羽に向かって矢が放たれますが難なく捕まえます。
アレキサンダーは孫のザンダーを伴っていて、ザンダーはすっかりエレナに夢中になったようだ。彼も自分に矢を打ち込むような恋人がほしいと言っていると笑っています。目的地に着くと、アレクサンダーは正式にエレナに孫のザンダーを紹介します。ラファエルとエレナは人間でいうと20歳くらいの若者をこんな危険な会合に連れてきて大丈夫なのですかとアレクサンダーに問いかけますが、アレクサンダーは残された唯一の身内を自分の目の届かないところにやりたくないようです。若い天使を気遣うラファエルは
エレナに了承を得て、ザンダーはいつでもエレナとアオドハンと一緒に過ごしていいという許可を出します。

光の国の代表だというジアンが彼らを出迎え、ネハとファヴァシはもう到着していて、キャリエーンはこれから来るところだと言います。彼の部下の案内で居室に通されます。通路には絵画など美術品はありませんが、細かい模様が彫り込まれていて、どこも似たような印象のため迷路のようにも思える造りになっています。アオドハンによれば、この模様には規則性があり、食事をとって一息ついたあとに3人で宮殿内を見て回り、できる範囲で現地を確認し、アオドハンは地図を書き上げます。

ラファエルとエレナはシャワールームでくつろぎの時を過ごした後、盛装してガラス窓のアトリウムへ向かいます。ティタスと話し合うミカエラ、部屋の逆方向にアレキサンダー、そして遅れてキャリエーンが入ってきます。アシュタッドやミカエラ、ハンナとも挨拶をかわすとジアンが寄ってきて少しお話しできませんかと誘います。エレナはずっと彼からの視線を感じていました。美術品のことを聞いてみると、適切な環境を整えるためにギャラリーをいま作る計画をたてていて、すべてまとめて片づけてありますとのこと。

エレナはまたヴァンパイアとの間に子供ができて、恋人が逃げてしまった知り合いを助けてあげたいんだけど、そういった子供の記録はあるかしら?と聞きます。そういった記録はないそうです。またエレナは自分に似たほとんど白に近い金髪に金色の肌という組み合わせのヴァンパイアを知らないかしらと聞くと、かすかな反応を見たような気もしましたが錯覚かもしれないとも思える薄い反応で、そのあとジアンに知らないと言われます。ところが少し人の輪から離れた場所で羽があって色合いさえ違えばジアンにそっくりの人物の肖像画が飾ってある場所を見つけ、しばらくその絵を観察しながらじっとしていると、部屋のつくりの関係か、部屋の逆側にいてエレナがいることに気が付いていないルミナリアの2人がエレナの噂話をしていることに気付きます「そっくりだぞ」「これほど似ているとは」「このことは絶対に口にしてはならぬ」彼らに気付かれないようそっとその場を離れますが、エレナは自分の血筋が、この国の裏事情に深くかかわっているのではないかと気づきます。

夜になって部屋に引き上げてから、ラファエルとエレナとアオドハンは25分ほど空を飛んで、エレナが聞いたことを話し合い、ラファエルが会議をしているあいだ注意深く秘密を探ることになります。ジアンは400年リーダーの座についている。もしもジアンが彼女の祖母と関係していたならば、不犯という彼らの誓いのひとつを破っていた証拠となり危険な秘密となりえます。

翌朝、大天使たちは食事をとらずに会合に入ることになっていますが、キャリエーンの護衛で付き添ってきたラファエルの幼馴染で元恋人のターシャを見かけるとエレナが嫌な顔をしたのでそのことでエレナをからかい、彼女が反撃するとラファエルが笑います。ちょうど部屋に入ってきたキャリエーンがエレナに心話で『これからも息子を笑わせてちょうだい』と喜びにあふれたメッセージを送りますが、あまりにも強烈なエネルギーにエレナは圧倒されてしまい、立っていられないくらいふらふらになってしまいます。

古天使から素のパワーで話しかけられることは名誉と考えられているので、その場を離れて休める場所にアオドハンに頼んで連れて行ってもらいます。そこは宮廷の中庭で2人の戦士が見慣れない棒術の訓練をしていました。

訓練が一区切りつくと、観察しているエレナに最初から気づいていたジアンが寄ってきて、手ほどきしましょうかと誘います。エレナは喜んで受けます。棒は思ったより重かったものの生まれながらのヴァンパイアハンターとしての訓練で彼に食い下がり、ジアンにしぶしぶ賞賛してもらえましたが、どんなに笑っても目だけは笑っておらず科学者が虫けらをながめるような目つきでエレナを観察しているのを感じて彼に不気味さを感じています。滞在中の訓練を提案されて、エレナは受けます。アオドハンが護衛ではなく友人として同伴してくれると伝えると、ルミナリアのなかにも武術より芸術に秀でている人物がいて、よろしければ明朝の訓練の際には彼を越させましょう、おそらくアオドハンと話が合うはずですと熱心にすすめます。


エレナとアオドハンは美術品をまとめて置いてあるという収蔵庫でハンナと落ち合うことになっていましたが、うっかり場所を聞き忘れ、通りすがりのルミナリエに道を尋ねます。ここでは一番若いらしいイブラヒムは喜んでエレナたちを案内してくれました。彼は思っていることが表情にでるタイプで1200歳を超えているようですがどこか無垢な印象を抱かせます。ここだけの話ということで、率直に質問に答えてくれました。

廊下には色彩さえ違えばラファエルそっくりな天使の肖像画が飾られていてエレナは驚きます。ラファエルの父ナディエルの肖像画で、これを描いた画家はナディエルが亡くなった頃に光の国に来たようですが、一切口をきかないそうです。興味を惹かれたエレナはイブラヒムから彼がいまどこで修業をしているのか教えてもらい、アオドハンに向かわせるつもりでいます。ここでの修行のことをイブラヒムに聞いたエレナが過去に出会った人間の修行者の話をして、生きてきた年数も、不死者か有限の命のものかということも、悟りには関係ないと話すと天使としてはまだ幼年期ともいえるあなたさまに今日は教えられました。お許しいただけるのでしたら、またお話を聞かせてくださいと乞われて、自分はそんなにたいそうな人物ではないけれどぜひまたお話しましょうと言います。彼はまた古い光の国の宮殿の地図も探す約束を彼女とします。

宮殿の奥深く、石の扉に守られていた収蔵庫は塔のようになっていて、下に向かって壁沿いにらせん階段が伸びて、特定の場所を見たい場合は中央の空間を飛んで行き来できるようになっている素晴らしい建物でした。階ごとにジャンル別に展示された宝物は素晴らしく、エレナとアオドハンはワンフロアづつ中央の空間から飛んで下がりながら見ていきます。途中護衛と一緒にいるハンナを見つけ、しばらく一緒に鑑賞しますが、芸術家の彼女自身はたっぷりと満喫したいらしく、探検心を隠し切れないエレナとアオドハンによかったら他の場所を見てきてちょうだいと言ってくれます。アオドハンはイリウムが見送りに来てくれなかったことをまだ気にしているようでしたがエレナはこれだけ長い間友達なんだから喧嘩くらいするでしょう。私とサラもお互いに謝れなくて3週間くらい口をきかなかったことがある。でも喧嘩をしていても私に何かあれば彼女が私の背中を守ってくれると感じていたし、彼女もそうしてくれたと思う。イリウムとの間にそういった信頼関係があるなら、帰ったらナイフで喧嘩して仲直りしなさいとけしかけます。しばらく考えていたアオドハンですが、じきにこの収蔵庫の様子をイリウムに説明しようと思います、仲直りしたらと話します。

彼らはエレナに似ているという人物や祖母の関連物が見当たらないかと下の階まで順に見ていきますが、ゆっくり見て回るにはあまりにも時間がかかってしまうほど膨大で貴重な宝物ばかりです。とにかく最下層まではチェックしようとどこまでも降りていくと、その階の遊び心あふれる小物ばかりを展示しているガラスケースのなかに、エレナとそっくりな女性の細密画がはめ込まれた小物を見つけました。おそらくあまりにも小さい品なのでもしもその人物の肖像画などは誰かの指示で撤去されていたとしても、見逃されたのかもしれません。もっと詳しく見たいと思ったエレナは、アオドハンに相談します。ここにはルミナリエの監視カメラもないからと、アオドハンはエレナからマヒヤからもらった護身用のごくごく細いかんざし型の刀を借りて、ガラスケースを開けてこっそり取り出すことにします。そこにバサバサっと高いところから最下層に着地する音がして、ルミナリエの一人が姿を現しました。エレナは驚く気持ちとうしろめたさを隠して彼と会話してアオドハンから注意を逸らし、その場をしのぎます。不自然さを感じさせないために、やはり収蔵庫にやってきたザンダーとその護衛に合流し、彼らと空の散歩にでかけイライラしながらも普段通りの様子をみせて、宮殿に戻ります。

昼食を食べようとエレナが食堂として使われている場所に着くと、大天使たちの会議が終わり、彼らが出てきました。ラファエルも出てきましたがストレスを解消したい顔をしていたので散歩に誘います。アオドハンがエレナが朝からエネルギーバー2本しか食べていないと告げ口して、3人で昼食をとってから羽を伸ばすことにします。ようやく前夜集まった山の頂上でエレナは持ってきた細密画をみることができます。ラファエルはパッとみて、これだけ短い間によくエレナの肖像画を仕上げられたなと思ったようですが実際には目の色が水色で、肌の色はエレナよりやや濃く、違う人物だということがわかりました。アオドハンが細い刃を使い枠から絵を外すと、裏にはマジダとありエレナはがっかりします。祖母ならエレナと呼ばれていたからです。もしもこの人物が光の国に関連した人物なら、地元の街でも情報が集められるかもしれないとラファエルは街へ調査にいくよう勧めますが、エレナは護衛なしでラファエルを残していくことをしぶります。もしも大天使同士が戦うなら、むしろそばにいないほうがエレナは安全だとラファエルは考えているようです。

エレナが宮殿に戻ってくると、ミカエラのペットのヴァンパイア、ライカーが遊ぼうぜと絡んできたので、最近心臓の調子はどう? しばらくあの風景を見ていないわねぇとエレナが返して、撃退します。次にターシャが寄ってきて他の護衛には断れてしまったんだけれど、スパーリングをしてほしいとアオドハンに頼みます。アオドハンが今日は街まで外出するから明日ならいいですと返事すると、私も行きたい! 静かで平和すぎて耐えられないからと言われ、エレナも了承します。エレナはなぜ予定を話したのか尋ねますが、アオドハンはもしもこれから頻繁に街へ調査に出掛ける必要があるなら、大人数で行っておけばカムフラージュになりますと応えます。どうやらジェイソンがスパイの技を彼に伝授していたようです。着替えて20分後に戻ってみると、ハンナの護衛以外の大天使の護衛たちは皆一緒にでかけることになっていたようです。

街に出掛ける途中ネハの護衛の将軍が近寄ってきます。ライス将軍からの伝言でマヒヤは元気にしていますか。ジェイソンは大事にしてくれているでしょうかとのことです。エレナはマヒヤからライス将軍夫妻がマヒヤを普通に扱ってくれていたと聞いていたので、マヒヤは自分らしく生きていて、彼らは幸せにやっていますと教えてあげます。実際には幸せにやっている以上でジェイソンは何よりもマヒヤを大切にしていて、マヒヤはジェイソンに言われたら自分の心臓も抉り出すだろうとエレナは思っていますが口にはしませんでした。またネハとラファエルの仲がしっくりこないためライス将軍はマヒヤへのプレゼントを遠慮していたようなのですが、このような機会があったので、エレナにお預けしてもよいでしょうかと聞かれたので喜んで預かるといい、お返しに渡すものが手元にないことを内心残念に思います。

街に着くと、エレナは市場を歩くことにします。ところが彼女に向ける人々の瞳には恐怖があり、何が彼らに天使を恐れさせるようになってしまったのかと思います。エレナは好奇心で近寄ってきたイザクという少年とその友達を臨時の道案内に雇い、街中を案内してもらいます。カーペット屋さんに入ると店主が
幽霊でも見たような顔をして「マジア・・・」と言い、ショックを受けてしまいます。どうやら彼女と似た人を知っているようですが、怖がらせるのは本意ではなく、いったん引き下がります。

店の外に出るとザンダーと護衛のヴァレリウスがやってくるのが見えますが、ザンダーは浮かない顔をしています。彼の父の領土でも、預けられていたティタスの領土でも祖父の領土でも、天使たちは尊敬され敬愛の対象となっていたので、怖がられたようでショックを受けたようです。エレナは少年たちにザンダーを紹介し、人間なら20歳くらいなのよと教えても、恐怖から反応が鈍いですが、ザンダーがどんな訓練をしているのか、自分の剣で少年たちにどう使うのか手を取って教えてあげていると次第になじんで楽しく遊ぶようになりました。ヴァレリウスと共に遊ぶ彼らを観察していると、3歳くらいの可愛い女の子がやってきてエレナの羽をひっぱるのを感じます。女の子の母親は真っ青になり、平服しますが、エレナはしゃがんで優しく女の子に抜けかけの羽を手渡し、母親に手を差し伸べて引き起こしてあげます。母親は現地の方言しか話せませんでしたが、遊んでいたイザクを読んで通訳してもらうと、優しい貴方ならここだけの話にしてもらえると思い、お話します。以前貴方にそっくりのマジヤという女性がここに住んでいました。彼女がいなくなってしまい、両親たちも悲しみですぐに他界してしまい、彼らの親族はもう残っていません。マジヤに何が起こったのかは子供に話せる話ではありませんので。と教えてくれます。

人混みが苦手で空からエレナを見守っていたらしいアオドハンが市場に急降下してきます。リージャンの飛行部隊が猛スピードでやってきます、という報告でした。ラファエルにも同時に報告したようで、ラファエルからすぐに光の国へ戻るようにと、自分たち大天使もそちらへ向かうと言われます。もっと詳しい話を聞きたいと思いつつ、緊急事態のため急ぎザンダーたちとその場を飛び立ちます。

途中で大天使たちと行きあい、ザンダーたちはそのまま宮殿に戻りますが、エレナはラファエルがリージャンと戦うのであればエネルギーをチャージするために大天使一行の最後尾からついていきます。飛行部隊はリージャンからの10人衆への手紙を運んでいました。私は女神であり、10人衆よりも上の存在であり、ルミナリエの権威は認めない、よって自分はそちらに行く義務を感じない。自分の領土のことは自分で対応するので構わないでほしいという内容でした。大天使たちは対応を協議しますが、リージャンが本当に書いた手紙なのか、あらかじめ準備したものかもしれず、リージャンと領土の状況をいずれにしても確認する必要があるということで、カリセムノンは反対するものの、翌日大天使たちは中国に行くことになります。ハンナやエレナ、ザンダーなどはスピードや能力、戦闘になったときの安全性を考えて、翌日早い時間に光の国から送り出そうという話に落ち着きます。

エレナは折角祖母のことを知っているかもしれない人物や情報を見つけたのにここを去るというのは難しく、明朝出発するということであれば今晩再度訪問したいと考えます。すでに何度も羽に無理をかけていて再度街を往復するのは肉体的に難しいので、ラファエルだけで行ってきてもいいと話しますが、彼だけ行っても本当のことは聞けないだろうということで、ラファエルはエレナの羽の治療をして、一緒に行くことにします。エレナは現地のモロッコ方言がわかり、信用できる人を誰か知らないかと聞くと、ラファエルは君は気に入らないだろうけれどターシャが話せる。彼女は若いころモロッコで暮らしていた時期に覚えたようだと言います。ラファエルが個人的に頼むとターシャに無駄な期待を持たせてしまうので、キャリエーンを通してエレナを助けてほしいと頼み、受け入れてもらいます。

庭で待つキャリエーンのところに二人で向かいます。ラファエルと母が親密に語り合う間、エレナはターシャに若い母親が話していて、その場で理解できなかった会話の部分を翻訳してもらいます。その後キャリエーンも同行したいということで4人で街に向かいます。

市場につくと、キャリエーンは気のそばのベンチで優雅に寛いでみせ、ターシャは彼女に付き添ってその場にいることになり、ラファエル達は市場を歩きます。揚げパンを買い、エレナが支払うと震える手でお金を受け取る店主。天使から支払いを受けることに慣れていないようです。ラファエルが別の店でジュースを買い、レストランを窓から覗くと年配の男性が働いているのが見えます。キャリエーンに聞くとミントティーと甘いものが食べたいということだったので、店に入って買おうとすると、老齢で手が震えたためコインを手から取り落としてしまいます。エレナがかがんで拾ったはずみで、エレナとラファエルの羽が店主からも見えて、心臓発作を起こしそうなほど怖がらせてしまいます。そこに「マジヤ!」と喜びの声を上げてエレナに飛びついてくる老齢の女性が現れました。夫の店主に背中から引っ張られていますが、涙ながらにエレナにすがり、エレナも羽で優しく包み込んであげます。

その女性はマジヤの親友で、彼女の子供は死んだと思っていた。金髪は彼女の家系の女性にでる優性遺伝だと教えてくれます。彼女はヴァンパイアの夫に熱愛されていて、彼女のこともヴァンパイアにしてほしいと光の国に頼みに行ったようですが、断られ、じきに消息不明になってしまったそうです。夫が失踪して間もなく身の危険を感じたマジヤは子供を連れていなくなったそうです。ただ不思議な噂があり、この村でマジヤの幽霊をみたという人がいたようです。噂をした人たちは厳しく罰せられこの村にヴァンパイアは住んではいけないことになり、村のはずれに飛行隊の天使たちの住む独自の建物を建てたため交流がなくなり、天使が村にやってくると若者のなかで一番美しい女性と魅力的な男性を連れて行ってしまうとのことでした。

途中からターシャに通訳してもらい、話を聞いていると、急に天候がおかしくなったため、ラファエルが空に偵察にあがります。不自然なほど強力な雷雲が現れていたため、村人の心の慰めに歌を歌っていたキャリエーンは村人たちを歌で避難させ、ラファエルとエレナも逃げ遅れた村人たちがいないか空から確かめ、ラファエル一行は全速力で光の国へ戻ることにします。空をとぶエレナは「羽をたため」とラファエルで指示され、素直に閉じると、下で待ち受けたラファエルに受け止められ、そのまま運ばれるます。ターシャも次第に遅れ始めたため、このスピードでは天候に捕まってしまうと、プライドを捨ててキャリエーンに運んでおらえとラファエルに言われ、羽をたたむと、キャリエーンの力にくるまれて、大天使の全速スピードで宮殿まで戻りました。ラファエルは宮殿に着いたとたん、雷の一部が羽をかすめますが、さきに建物にはいり全員の安全を確かめます。

羽は全身のなかでも治りが遅い部位で、このままでは中国まで飛んでいけないほど深い傷でした。エレナは、ラファエルの天使の力である白い炎の元となるのはエレナがラファエルを思う心の強さから来ているから、治療にも使えるのではないかと言います。最初攻撃するときのように掌に力をためようとしますが、上手くいきません。エレナは私の力をそぐことを心配しすぎないで、というと、ラファエルは彼女の手を傷にあてて、力を放出してみます。するとエンジェルファイヤーを出した時のようなショックがありましたが、傷は治っていました。

部屋に戻る途中、血を流して倒れているイブラヒムを発見します。そばにはギャラリーで出会った老齢のルミナリエがしゃがみこんでいましたが、誰も信用できないため、ラファエルはすぐに彼を自分たちの部屋へ運び込み、アオドハンに言って沈黙を守っているという治療の技を持っているラリックを呼びにやります。彼は手や足などでひどい暴行を受けていて、あばらは折れ、全身はあざで色が変色し、特に右手だけにひどい傷が集中しています。ラリックは天使の手話のようなものでアオドハンと意思を疎通できるようで、親身に、注意深くイブラヒムを治療し、看護してくれます。激怒しているラファエルとエレナは、観察されていることにもう耐えられず、自分たちに割り当てられた部屋の監視の場所を念入りに探し出し、数十分後にエレナが覗き穴をみつけ、ラファエルが壁ごと破壊するると、別の部屋に抜ける入口がありました。

エレナはイブラヒムはいてはいけない場所にいてしまったのか、手を傷つけられたということであれば触ってはいけないものに触ったのではないか、ひょっとして自分が頼んだ地図がこの暴力の引き金になったのではと推察しますがラファエルはそれなら両手でもおかしくないし、ひょっとしたらエレナが彼の右腕にあいさつ代わりに触れたのが犯人の逆鱗に触れたのかもしれないと言います。私はあなたのものなのだから、それならあなたに怒りが向かなければおかしいのでは?とエレナは反論しますが、大天使に仇名すのは難しいということも事実です。

誰かの逆鱗に触れるほど重要な情報が地図に隠されているとするなら、その情報を見つけなければとエレナとアオドハンはラリックが普段籠っている塔の一室で地図を調べ、ギャラリーの地下に秘密の空間があるのではないかと推理します。ギャラリーに入り浸っているハンナの意見も聞きますが、彼女自身は
気が付いたことは特になかったということですが、意外にもラリックがギャラリー最下層の近くで扉が開いているのをみたことがあると教えてくれます。

イブラヒムを無防備にできないためアオドハンを護衛に置き、ラファエルとエレナは地下に向かいます。2つほどの仕掛けをくぐり抜け、出た地下通路の先には美しく整えられた待合室があり、そこには3つの部屋がありました。1つは空で、あと二つには人間の女性が囚われていました。一人は天使たちとのアバンチュールに誘われ、思い出話のひとつにということで自分から誘われてついてきた女性でした。数日で返してもらえると信じていたようです。もう一人は小さい子供と夫のいる女性でしたが、村から無理やり連れてこられ、一緒に来ないと家族に害を与えられると脅されたようです。こうやって光の国へ連れてこられた自分のいとこや近所の女性たちは二度と戻ってこなかったので、自分も運が良ければ家に戻れるかもしれない・・・と話します。

ラファエルとエレナは激怒しつつ、二人をいったんイライジャたちの部屋でかくまってもらうことにして、先を探検します。さらに仕掛けを抜けると、悲鳴と「お前の子供もお前と同じように俺のものにしてやる!」と拷問する人の声が聞こえてきます。エレナは駆け付けたい気持ちではやりますが、ラファエルが彼女の心の錨となって、武器を手に慎重に部屋に近づき、部屋に飛び込んで壁に鎖で括られた人物のそばにいたジアンにエレナはナイフを投げつけ、ナイフをかわした彼にさらに手裏剣を投げつけ、首を切り裂きます。大量の出血で動けなくなったところで壁に括られていた人物が首にかみつきます。彼は髪の毛が藁のようになっていて、猛烈に飢えた様子です。彼にはそのまま飢えを満たさせ、首をめぐらすとそこにはエレナの髪の毛と肌がそっくりの女性が手首と足を鎖でつながれ立っていました。彼女が「マルグレーテ!」と呼び、おぼつかない手つきでエレナを抱きしめてくるので優しく彼女を包み込み、私はあなたの孫のエレナよと静かに教えます。ラファエルに鎖を外してもらい、彼女の飢えを自分の血で満たしてあげようとしますが、私の赤ちゃんから血を飲んだりしませんと顔を背けられてしまいます。ラファエルは自分は彼女にとっては他人だからいいだろうと、彼の手首を差し出し、マジダは受け入れます。みるみるうちに血色を取り戻し、エレナとそう年がかわらないようにみえる美女へと変化していきました。すぐにジャン・バスチャン!と言ってヴァンパイアのほうに向かいます。ヴァンパイアのほうもジアンから血を得て、魅力的な男性に変化していきました。彼は色合いをのぞけばエレナそっくりでした。彼らは長年にわたる監禁と虐待にもかかわらず正気を保っていて、弱ったジアンを捕まえているラファエルとエレナに従って監獄を抜け、宮殿の表側に堂々と現れた一行をみて驚いた様子のルミナリエにラファエルが「ルミナリエは全員即座に宮殿のアトリウムに集合するように」と命令します。

大天使たちとルミナリエ全員の前でラファエルはジアンを告発し、自分の家族への攻撃ととらえ、彼の手に裁きをゆだねてもらいます。またルミナリエたちが大天使たちよりも偉いと勘違いし、自由に領民たちを虐待し、搾取していたことは許されず、またヴァンパイア化するときには必ず本人の自由意志によるものという古いルールを逸脱して、エレナの祖母マジダは強制的にヴァンパイア化されたという告発がなされます。また祖父母たちは誰にも所属していないという問題があり大天使の誰に忠誠を誓うかと言われて、即座にラファエルを選びます。

本来はファヴァシの配下としてルミナリエの飛行隊に奉仕していたエレナの祖父ジャン・バティストが死んだことにされていたように、他にも大天使たちの宮殿から派遣されていた優秀なヴァンパイアや天使たちが訓練中の事故や失踪ということで数十人行方不明になっているということが明らかになりました。彼らは秘密に近づきすぎてしまったため、処分されたようです。

建物だけ残してルミナリエは解散させようという声もあり、ギャラリーの存続はよいけれど、みんなの財産として公開すべきではないかという意見もあり、貴重な美術品がルミナリエの取捨選択で放置されていたりという声もあり、またどの人物が犯罪にかかわっていて、どの人物が無実なのかという問題もありました。

キャリエーンが歌い始めると、ルミナリエたちが苦しみ始め、中央に26人ほどの人物が選別されます。彼らは直接人間やヴァンパイア、天使殺害にかかわった人物だとキャリエーンに断罪され、天使の炎で一瞬で灰にされます。さらに大天使たちの声で残された人物たちが見て見ぬふりをしたものと全く知らなかったものとに分けられ、数十年の間大天使たちの共同の監視のもとひとまず存続させるということになります。また村の管理者をどうするかという問題では、再建に膨大の手間と人手がかかると見込まれカリセムノンが興味を示さずラファエルが受け持つことになります。アオドハンが、偉大な芸術家でもあり、いまは心が引き裂かれてしまっているけれど、イリウムの愛情深い母でもあり、ラファエルの実質的な育ての親のような存在でもあり、リフュージでも困った家族に手を差し伸べているハミングバードはどうでしょうかと提案します。他者を助けることで自分も癒されるのではないかと考えたようで、ラファエルはうなずきます。イブラヒムはネハの宮廷で寵愛されていた学者だったようで酷く傷つけられた人物が彼だったと知り、大天使たちが引き揚げ始めると部下たちに自分の部屋へ運ぶようにと言ってアトリウムを出ていき、他の大天使たちも退出していきました。

部屋に残されたのはジアンと、ラファエル達6人でした。ラファエルは一番苦しめられた君たちが罰を決めていいと祖父に言いますが、祖母が彼と同じレベルに堕ちてはいけないといい、祖父は即座に殺すという慈悲は与えないでほしいと頼みます。ラファエルは、彼が被害者を監禁していたそれぞれの合計の年数だけ自分が閉じ込めていた監獄と同じような環境で窓から自由に羽ばたく彼らをみて苦しむがよいと決断します。その後殺す慈悲をたれるかどうかは被害者が決めればよいと。

エレナを飛行機まで送ると、ラファエルたちは中国へ向かいました。ジェイソンの報告通り各地でブラッドラストが起こり、村人を虐殺してまわっています。大天使たちはそれぞれの村をまわり、変化してしまったヴァンパイアたちを処刑し、1日で事態を収めることに成功しました。リージャンの宮廷に向かいますが人気がなく、リージャンの存在を確認できなかったため、話し合いのとおりにファヴァシが即座に中国の大天使となり、キャリエーンの補佐をうけるということに決まりました。

エレナの祖父母はエレナと共にニューヨークに来ていました。エレナは彼らはモロッコに戻るだろうと考えていましたが、あそこには悲しい思い出が多すぎ、知り合いは亡くなってしまっている。未来をみて、家族と共に生きていたいからニューヨークに住もうと思うと言われてエレナは喜びます。エレナは妹のベスのところに祖父母を案内すると、彼女の娘のマギーも一緒に出迎えてくれて大感激していました。ニューヨークに戻ったラファエルは、途中まで迎えにでていたエレナの出迎えを受け、疲れが吹き飛んだようです。
ただしリージャンがもし眠りから覚めたときには、今まで以上の怪物になっているだろうという予感をラファエルは抱いているようです。


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